なぎ
エタバン後 ぺーぶいぺーいったはなし バカのつくカップルにしかならねえ たすけてくれ 凪だ。 そこだけ音が消えたようだった。乱闘のさなかにあって、ただその周辺だけ無音の世界として切り取られているように見えた。腰を深く落…
エタバン後 ぺーぶいぺーいったはなし バカのつくカップルにしかならねえ たすけてくれ 凪だ。 そこだけ音が消えたようだった。乱闘のさなかにあって、ただその周辺だけ無音の世界として切り取られているように見えた。腰を深く落…
たぶんエタバン後かその直前 戦場での中身のないはなし 珍しい月の生まれなんですね、とは今までの人生で何度も言われたことだった。 もちろん同じ戦神の月生まれの人間なんていくらでもいる。珍しい、というのは商人界隈の間でのこ…
どうぶつif いいよね…… という気持ちでやった 理不尽な眠りから覚めたら、周囲はすっかり様変わりしていた。不気味なほどに白い壁に低い空、つるつるした爪の立てづらい大地、そして冷たくて鉄臭いまっすぐなツタ。厄介なのはこ…
これのつづき 最近読んだものに影響されます なろう系っていうんですけど まただ。またこうだ。またこの光景を見ている。 ぼやけた視界の中で喉を灼きながら、浅い呼吸を繰り返す。もうだいぶ前に持っていられなくなった魔道書は足…
初めて会ったときの話 お腹がすいたときに書きました 「わぷぅ」 突然鼻が潰された。予想もしなかった衝撃にたたらを踏み、そのままべったんと尻餅をつく。腕に抱えたカーバンクルがギィと文句を言ったのが聞こえたが、尻から伝わって…
本当に最初の頃の話 モブのおにいさんと 「なんで?」 それは単純な疑問だった。皮肉でも挑発でも嘲りでもない、ただただ純粋な疑問。氷が溶けたら水になることを初めて知った子供がするような、純粋な問いかけ。未だ子供と言っても差…
エタバン後 いつぞやの進路に悩んでいたモブが遊びに来たよ Q. むーたんは離れると消えるのでは? A. 細けぇことはいいんだよ 曰く、巴術はありとあらゆる自然現象を算術で表現する学問である。 曰く、巴術士は宝珠の神秘を…
帝国if 片付いた後片付けに来たよ 春の兆し 帝都の冬は寒い。見栄っ張りの貴族の鼻がもげた昔話があったが、帝国の民はそれが実話だと身をもって知っている。実際、外に出している箇所はすべからく刺すような痛みに襲われるから、…
おっさんの奮闘 秘密(?)の戸棚を見つけたよ 呼吸を止めて一秒、真剣な目をして目前の錠前を睨む。これほどまでに表情筋が引き締まっているのは獣の討滅以来かもしれない。とにかく今のシルヴァは元気いっぱいに真剣だった。「むむ…
通り魔のアレコレのさいしょのやつ 書きたいトコだけやって満足した 「——またか」 リムサにしては珍しく、しとしとと控えめな雨粒が水面を叩いていた。波音に混じる奥ゆかしい雨音を聞きながら足元の水面を見下ろし呟くと、傘を差し…