DFFカオス側クラウドちゃんとのなれそめ / バツクラ / 文庫ページメーカー
クラウドの寝顔は幼い。
否、可愛らしいと言った方が近い。いつも堅い表情筋から力が抜け、悪いことは何もかも考えていないような、安心しきったその表情は、聞いていた年よりもぐっと若い印象を受けるものだ。彼の世界ではもう酒が飲める年齢でバッツよりも年上だと言っていたが、とてもそんな年には見えない。
「……そんなこと言ったらたぶん怒るよなあ」
目に浮かぶようだと苦笑いしながら、バッツはその頬に少しだけ触れてみる。
わずかに瞼が震えたが、起きるまでには至らなかった。よほど深く眠っているらしい。布団も枕も、屋根もない、ふきっさらしの外なのに、クラウドは幼子のような少しだけ丸まった体勢で微動だにしないまま熟睡している。
「こんなとこ見られたら怒られるんじゃないのかよ」
おれも人のこといえたことじゃないけどさ、と呟きながら、バッツもまた横になる。
たまにこうして、バッツの所にふらりとやってきては昼寝していくこの青年は、どうも敵側の陣営らしい——そう気づいたのは、彼自身の口から聞いたからだ。聞いたのに、らしい、と言うのは、どうもそう思えないからだった。
向こうの神が配下としている者たちは、バッツが知っている限りエクスデスはじめ邪悪な者たちばかりである。だがこの、すぐ隣ですやすやと眠っている彼はどうもそう思えない。積極的に戦闘を挑んでくる様子もないし、何よりバッツのカンが何か違うと告げている。こういうときの彼のカンは、あまり外れたことがない。
(こっち側に来ちまえばいいのに)
そうしたら、時間を気にせず、周りの目も気にしないでいられる。昼寝だって好きな時間にできるし、ゆっくり話だってできるかもしれない。話ができたら、どうしてバッツの所に昼寝をしにくるのか、そしてバッツもそれをついつい許してしまうのか——もっと一緒にいたいと思ってしまうのか、解る気がする。
「……まあいっか。おやすみ、クラウド」
たぶんバッツが起きたら、きっと隣にはいないだろう。
一抹の寂しさを覚えながらもバッツもまた目を閉じて、束の間の休息に身を委ねた。