[2018/08/03]バツクラ

クラウドちゃんの手が好きなバッツ君 / バツクラ / 文庫ページメーカー ※R18表現あり

 バッツはクラウドの手が好きだった。
 あれだけ重い塊をブン回しているのにも関わらずそれほどゴツくない奇跡のような造形も好きだし、何でもできそうに見えて思いの外不器用なのも好きだ。この前なんて服のジッパーが布を噛んでしまい、直すのに悪戦苦闘していた(結局バッツが取ってあげた)。クラウドらしさといったら傲慢かもしれないが、彼の良さを全部ぎゅっと詰め込んで表しているその手が好きだった。
 それに、普段はグローブで隠されているその素肌を見られるのが自分だけだというこの優越感が何よりたまらなかった。
「——クラウド、クラウド」
 シーツに押しつけた手首からするりと己の手を這わせ、指を絡めてその手を握ると、しっとりと湿り、熱を持った手が応えてくれた。
「っんぁ、……あ? なに、っなんだ」
「かわいい」
 耳元でささやいてやると、とたんに手のひらがかっと熱くなる。やめろ、なんて言いそうだった唇を塞ぎながらゆっくり腰を動かせば、ぎゅ、と繋いだ手に力がこもる。
「きもちい?」
「ァ、あ、いい、」
「ゆっくりのも好き?」
「すき、きもちいい、……っんん」
 手を両方とも抑えつけ、塞いでしまっているせいで露わになっているクラウドの顔は、もう普段の頑なとも取れる様子は欠片もなかった。バッツからもたらされるものをすべて受け止めようと必死になっている様はもう、たまらない。
「すき、だから、もっと」
 ——そして、そんなクラウドにせがまれた日には、バッツの理性なんて最初からなかったことになりそうだった。
「んん——ッ!! んっ、あっ、あっ、ア」
「クラウド、ごめ、やばい」
 ゆっくりが好きと言われた矢先の爆弾に脳髄が吹っ飛ぶかと思った。実際バッツの箍は綺麗さっぱりなくなったし、目の前の存在をただひたすらに犯し尽くしたいという欲をそのまま叩きつける。先ほどとは全く違う動きに身体がついて行かなかったのか、クラウドはただひたすら言葉にならない嬌声をあげるだけだ。
「あぁ、ひ、ひっ、……いく、いくから、っあ——」
 ぎゅ、とクラウドの手に力が入り、一気にバッツの昂りが締め付けられる。続くようにバッツもまた、クラウドの胎の中にその欲をぶちまけたが、くすぶる熱は治まりそうにない。
「やばい、今日、今日おれとまんないかもしんない」
 それでもいいよな、という問いかけにクラウドは返事をする気力もないらしい。だが構わず、バッツは目の前でただ息をするだけの身体を嬲る。
 それにそもそも、だめだと言われても止まる気はない。
「もっと気持ちいいことしよう」
 好きだろ気持ちいいの、という問いかけには、最早意味のある言葉なんて返ってこなかった。

三度の飯が好き

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