まだくっついてないときのバレクラ / 文庫ページメーカー
腰が痛い。
ただそのフレーズだけで嫌悪感が胸の中を埋め尽くした。普段滅多に口に出さない悪態を吐きながら身体を起こし、薄暗い中目を凝らす。そいつに言わせれば「特別製」の目はすぐに暗闇に慣れて、探すべきものをちゃんと見つけてくれた。ほのかに光っているマテリアを取って、片方がひっくり返っていたスリッパを履くと、服は着ないまま風呂場へ向かう。
「……くそったれ」
途端、内股を伝う厭な感触にまたも汚い言葉がこぼれ落ちた。
屋根と壁と、鍵がかかる扉さえあれば始まる行為は、ミッドガルを出たその日に始まった。石畳が美しい街の宿屋での夜はもう思い出したくもないが、とにかくその日がきっかけだったことは間違いがない。受け流す術を知らなかったクラウドは、ただ今よりももっと酷い状態で夜中に目を覚まし、そしてずっと重たい足取りで風呂場に向かっていた。
灯りをつけ、大きな姿見の前に立つ。そこら中歯型やら、内出血の痕やらで、なんとも無様な身体がそこに映っていた。元が白いせいかよけいに目立った。また口から飛び出てこようとした悪態を飲み込み、代わりに掌のマテリアを握りしめる。