お見舞いに来てくれたバレットさん / 文庫ページメーカー
見舞いにいくと、いつも彼は始めに縋るような目を向けてきた。出してくれ、とその目はひたすらに訴えていた。その美しい星の命に染め上げられた色は、彼自身が正気であり、ジェノバの干渉など微塵も受けていないこと示していた。それがかえって辛かった。
「なあ、お前、腹減ってねえか」
その目が訴えていることに気づかない振りをすると、クラウドはいつも決まって悲しそうな顔をした。だがすぐに、明るく振る舞うバレットに合わせて目尻を下げる。減ってない、と首を振る時には、クラウドはいつも笑っている。それまでの悲痛な色は何一つ瞳に映さずに、ただ仲間達に、家族に心配をかけまいとしているのか、かつて見せていたそれと同じ顔で笑うのだ。
「減ってねえって、お前、ここんとこ全然食ってねえだろ。そりゃ食わなくても良いかもしれねえけどよ」
檻の前に——柔らかい、しかし絶対に壊れることのない格子の前に腰を下ろすと、クラウドもまた不自由な身体でずりずりと寄ってくる。すぐ傍にきた金色のふわふわを撫でてやったら、笑ったような吐息が聞こえた。