白夢の繭

__ 実験記録017 – ■■■■/■■/■■__

対象: WCP-001-J

実施方法: 非活性化状態の WCP-001-J に話しかけ、意志疎通が可能であるかどうかを確認。
WCP-001-J を抑制可能な身体的特徴(以下、抑制要素とする)を備えたDクラス職員三名により実施。
D-507: 色黒の肌を持つ男性。
D-513: 喫煙者の男性。
D-1056: 長い黒髪の女性。

結果: 三名とも会話に成功。うち D-1056 は WCP-001-J の本名を聞き出すことに成功した。
なお、D-513 のみ継続して、WCP-001-J-A を取り上げる検証を実施し、活性化状態に遷移した WCP-001-J に心臓を[編集済み]され死亡。

分析: 抑制要素を持つ人間には、契機がない限り攻撃的行動をとらず、会話にも応じる。
しかし、 WCP-001-J-A を損なう行動に限っては、抑制要素を備えていない者と同様、最終的には殺害する。

メモ:
WCP-001-J にとって、WCP-001-J-A は何らかの鍵であるらしい。D-513 に奪われた後は、攻撃行動に移る直前まで、まるで子供か何かのように「かえして」と泣いていた。検証の継続が必要と判断する。
――■■■■博士

__実験記録018 – ■■■■/■■/■■__

対象: WCP-001-J

実施方法: 活性化状態の WCP-001-J に話しかけ、意志疎通が可能であるかどうか、非活性化状態に遷移するかどうかを検証する。なお、検証前にはエリア壱-05b における対脱走体勢を整備する。検証はDクラス職員三名によって実施。使用するDクラス職員は以下の通り。
D-507: 色黒の肌を持つ男性。
D-600: 赤い服を着た男性。
D-1056: 長い黒髪の女性。

結果: 三名とも会話に失敗し殺害される。うち、D-1056は原型をとどめておらず、[編集済み]。

分析: 活性化状態であれば、抑制要素を備えていても抑制は不可能。D-1056にのみ認められた外見的特徴は、抑制要素のほか、当日別の実験[編集済み]にて着用していた白衣で、他のDクラス職員は指定以外平服であった。D-1056に対しては、生命活動を停止してもなお執拗に攻撃行動を取ったため、至急麻痺毒を噴霧し非活性状態にする。

分析: 抑制要素の対になるものは白衣であると考えられる。即時の活性化を促す要素である可能性が非常に高いため、今後 WCP-001-J との接触には、白衣の着用を禁止する。

__実験記録019 – ■■■■/■■/■■__

[事案0057発生により削除済み]

__実験記録020 – ■■■■/■■/■■__

[削除済み]

__実験記録021 – ■■■■/■■/■■__

対象: WCP-001-J

実施方法: 抑制要素の中でも、最も強い反応を示す要素である「整えられた口髭」を持つ■■■■博士による給餌。博士は WCP-001-J が非活性状態であることを確認してから、収容施設に入室し、手ずから食事を採らせる。安全のため、警備員を五名に増員。なお、博士は誓約書に署名済みである。
博士による給餌検証の後、抑制要素を備えたDクラス職員による同様の検証を実施する。

結果: 給餌に成功。いくつかの会話ログも採取。なお、Dクラス職員の場合も検証に成功したが、問いかけには応答せず、会話ログは採取できなかった。

分析: 抑制要素「整えられた口髭」は、ほかの抑制要素と比較して WCP-001-J に異なる影響を及ぼしている可能性が高い。■■■■博士に対する攻撃行動は今のところ皆無であることから、今後の実験に対しては■■■■博士に委任する。

メモ:
事案0057における映像により、WCP-001-J は理性を失った単なる怪物かと考えていたが、今回の検証により、幾らかの知性や理性、そして以前から言及されていた記憶は残っているようだ。■■■■■戦役の英雄達が友人だった可能性も、収容時の年代より十分考えられる。
だが、どうしてとりわけ初代WRO局長の特徴には反応を示すのだろうか。もちろん会ったことはあるだろう。収容時に顔を合わせているのだから。
しかしあの反応は、まるで父か何かに見せるような無防備な反応は、いったい何なのだろう。
――■■■■博士

三度の飯が好き

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