白夢の繭

差出人: ■■■■
宛先 : 世界再生機構総務部監査課 ■■■課長
件名 : WCP-001-J の特別収容プロトコル等の改訂について

いつもお世話になっております。■■■■です。
掲題の件につきまして、当局のアクションプランが決定しました。

現在非活性化状態にある WCP-001-J は、本日■■■■/■■/■■ 事案0057発生をもちまして、Euclid より Keter へとオブジェクトクラスを変更します。
また、特別収容プロトコルにつきましても、更なる変更を加えての運用となります。

特別収容プロトコルの改訂につきましては、現在検討中のためまとまり次第のご連絡となりますが、おおよそ ■■/■■ には監査部へ報告可能となる見通しです。

以上、よろしくお願いいたします。

■■■■

識別コード: WCP-001-J
この識別コードは、フィルタリングに必要となります。業務上のやり取りにつきましては、
必ず該当するコードを付与してください。誤ったコードを付与した場合、公的な管理記録に
入りませんので、総務部監査課へご連絡をお願いいたします。


差出人: ■■■■
宛先 : 世界再生機構総務部監査課 ■■■課長
件名 : Re:Re: WCP-001-J の特別収容プロトコル等改訂について

お世話になっております。■■■■です。
先日は収容、ならびに輸送にご対応いただきありがとうございました。

WCP-001-J の特別収容プロトコルにつきまして、添付にてご報告いたします。
なお、不足等ございましたら、ご指摘いただけますようお願いいたします。

以上、よろしくお願いいたします。

■■■■

識別コード: WCP-001-J
この識別コードは、フィルタリングに必要となります。業務上のやり取りにつきましては、
必ず該当するコードを付与してください。誤ったコードを付与した場合、公的な管理記録に
入りませんので、総務部監査課へご連絡をお願いいたします。

WCP_001_J.txt

アイテム番号: WCP-001-J
オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: WCP-001-J は、旧ミッドガル地下『ディープグラウンド』内エリア 壱-05b に収容されます。エリア壱-05b への入り口は垂直エレベータのみで、10 メートルごとに厚さ 20cm の壁で作られたブラストドアが設けられています。

エリア壱-05b の構成は以下の通りです:
・対侵入者警備のため、WRO 標準審査にスコア800以上で合格した Outer Security Officer。
・最硬度の魔法防御を施し、防衛魔法レベル4までを習得した研修済みの Magia Defender。
・最高度の物理防御を施し、レベル5以上の身体強化装備を標準搭載した、攻撃に特化した WRO Special Attacker。
・上記構成員の居住・支援区画。
・厚さ 2m の防護物質に囲まれた、一辺10mの収容施設。施設の内側には対魔力障壁を構築。外側には物理干渉遮断防壁を敷設し、衝撃に備えます。内部は常に鎮静物質を含むガスで満たされ、WCP-001-J にのみ有効な麻痺毒■■も噴出可能です。
・居住区画と収容施設を結ぶ、通路《キリングマイル》。《キリングマイル》には有事の際、レベル3毒魔法、高圧電流、ならびにフレアの常時発動を実施します。

《キリングマイル》入り口には、常時最低でも四人の警備職員を配置します。武装に制限はありません。WCP-001-J の活性化が観測された場合は、速やかに全区画、ならびに WRO 本部へ通達し、監視を強化してください。

WCP-001-J が施設より脱走した場合、職員は最寄りのターミナルより武装を取得、プロトコル-J を開始し収容へ最善を尽くしてください。《ディープグラウンド》指揮担当者より、収容成功の報告が48時間以内になかった場合は、エリア壱-05b を封鎖し神経ガスを注入します。この場合、内部の職員は全て死亡します。エリア壱-05b からの脱走が認められた場合は、WRO 本部はカバーストーリー「DG の残党」を布告し、収容に全機動部隊を動員します。

説明: WCP-001-J は、十代後半から二十代の青年の見た目をしています。髪は金髪で、瞳は魔晄眼、肌は白です。中性的な顔立ちをしており、人語を解します。猫のぬいぐるみ(以降 WCP-001-J-A とする)を所持しています。与えられる服については、魔力の発露を抑える白い検査着のみです。

食事は一日三回、施設内部の食堂にて作られた、ヒト用の食事を与えてください。食事は、後述する補遺1 の外見的特徴を備えたDクラス職員、または WCP-001-J の精神状態に応じて、管理担当者の■■■■博士が運搬します。

WCP-001-J の保有する魔力量は、現在の測定機器では観測できません。検証により、少なくとも■■回の『楽園』召喚を、WCP-001-J 単体によって実行できることが示唆されています。
身体能力についても、ヒトの範疇を大きく越えた性能を見せます。現在まで観測されているのは以下の通りです。
・機動部隊が撃った銃弾を、射撃後に全て回避します。
・36m 範囲内の機動部隊を2秒で排除します。
・重量を持つ物質の圧迫に耐えます。WCP-001-J の耐久性については未知数です。

WCP-001-J は、ありとあらゆるヒトを憎悪します。憎悪の対象はヒト、ヒトに類する二足歩行のモンスターや動物です。四足歩行の動物や、ネコ科の特徴を持つものに対しては、憎悪を見せません。

補遺1: WCP-001-J の憎悪対象に、例外があることが研究にて判明しています。特定の外見的特徴を保有する者に対しては、攻撃行動をやめる傾向にあるため、インタビュー、検査などの実施は、以下外見的特徴を備えた職員が実施してください。
・色黒の肌をした男性。
・長い黒髪の女性。長さは腰以上が望ましい。
・ピンク色のリボンをした女性。
・羽根の髪飾り。
・整えられた口髭。
・咥え煙草。
・赤い服装。
・鉢巻きをした女性。
なお、上記の外見的特徴については、現在関連性を調査中ですが、WCP-001-J の発言などから、[編集済み]年前の■■■■■戦役にて記録されている■■のメンバと考えられています。
また、白衣を着た人間に対しては、上記例外を備えていても、特異的な憎悪を見せ、活性化状態に入ります。白衣の着用は推奨されません。

+実験記録017:閲覧には局長の承認が必要です。

通常、収容施設内のベッドで非活性化状態を保っていますが、外部からの刺激や WCP-001-J の見る夢、WCP-001-J-A の破損や職員による奪取など、何らかのトリガにより活性化状態へ移行すると、ありとあらゆる手段を講じて外へ出ようとします。外に出ると、目に付いた人類を手当たり次第に殺害します。通常、対魔力障壁、対物理干渉、鎮静ガスにより、動作は緩慢で、十分な訓練を受けた隊員によって対応が可能です。活性状態への移行を監視するため、WCP-001-J の脳波の常時監視が義務付けられています。脳波に変調が見られた場合は、必要に応じて鎮静ガスの濃度の調節、麻痺毒■■の噴出を実施してください。

補遺2: WCP-001-J の保有する魔力により、過去に一度脱走し、事案0057が発生しました。設備強化のための予算を申請中です。

WCP-001-J から WCP-001-J-A を取り上げると、ひどく取り乱し、動揺します。収容施設内を探し、施設内にはないと判明したら、速やかに脱出行動へ移行します。この場合、鎮静ガスや麻痺毒への耐性を見せ、動作は機敏になり、WCP-001-J-A を取得するまで、この状態は持続します。職員が持っている場合は、前述の外見的特徴を備えていない者であれば即座に殺害し奪取します。外見的特徴を備えている場合は、返してくれるように懇願します。応じられないと判断すると、殺害して奪取します。判断基準については明確になっていません。

補遺3: 管理担当者の■■■■博士が WCP-001-J-A を持っている場合は、不満を露わにするだけで、攻撃行動や懇願を実施しないということが判明しました。WCP-001-J-A の管理は、■■■■博士が担当します。

追加項目: WCP-001-J は、■■■■/■■/■■、初代 WRO 局長により保管が決定され、その時点では攻撃性が見受けられなかったため、サイト-■■に収容されていました。

+文書001-1:要レベル4クリアランス
+文書001-2:要レベル4クリアランス

現在、サイト-■■は破壊されています。また、■■■■の出現により、重度の魔晄中毒を誘発する危険性があるため、半径 5km 範囲への立ち入りは禁止されています。

+文書001-3:要レベル4クリアランス

WCP-001-J は、■■■■/■■/■■ 事案0057発生まで Euclid に分類されていました。事案発生により、WRO 職員[削除済み]名、一般人[削除済み]名が死亡しました。

+事案0057記録:要レベル4クリアランス


差出人: 世界再生機構総務部監査課 ■■■
宛先 : ■■■■博士
件名 : Re: Re: Re: WCP-001-J の特別収容プロトコル等の改訂について

お疲れ様です。
監査部からの指摘は特にありません。局長への提出をお願い致します。

個人的には、博士の負担が大きいように感じますが、いかがでしょう。

■■■■

識別コード: WCP-001-J
この識別コードは、フィルタリングに必要となります。業務上のやり取りにつきましては、
必ず該当するコードを付与してください。誤ったコードを付与した場合、公的な管理記録に
入りませんので、総務部監査課へご連絡をお願いいたします。


差出人: ■■■■
宛先 : 世界再生機構総務部監査課 ■■■課長
件名 : Re: Re: Re: Re: WCP-001-J の特別収容プロトコル等の改訂について

ご確認いただき、ありがとうございます。
局長の承認が取れ次第、運用を開始いたします。
負担につきましても、ご配慮ありがとうございます。適宜調整いたします。

■■■■

識別コード: WCP-001-J
この識別コードは、フィルタリングに必要となります。業務上のやり取りにつきましては、
必ず該当するコードを付与してください。誤ったコードを付与した場合、公的な管理記録に
入りませんので、総務部監査課へご連絡をお願いいたします。


差出人: ■■■■
宛先 : 世界再生機構総務部監査課 ■■■課長
件名 : さっきのメール

心配してくれてありがとう。
個人的には全く苦に思っていません。何かあったらお願いします、とだけ(笑)

過去の実験記録から、あの狂犬は元来ああいった性格ではなかったようです。当初の収容理由についても拝見しましたが、凶暴性由来ではなく、のっぴきならない理由のようでしたし。

一体何が彼を変えたのかは、今となっては分かりません。
ですが、私の前だと、彼はかつての彼に戻っているような気がします。禍つの狼や WCP-001-J ではなく、一人の孤独な青年に。

ただ、何かと初代の名前を呼ばれるのはなんだかなあって感じです。

■■■■


差出人: 世界再生機構総務部監査課 ■■■課長
宛先 : ■■■■
件名 : やりすぎるなよ

>ただ、何かと初代の名前を呼ばれるのはなんだかなあって感じです。
それが答えなんじゃないのか?

三度の飯が好き

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です