[2018/07/25]リブクラ

クラウドちゃんのおめめが好きなリーブさん / リブクラ / 文庫ページメーカー

「クラウドさんの目って綺麗ですよね」
 思わず呟いた一言は、どうもタイミングが悪かったらしい。今まさに閉じられようとしていた瞼がのろのろと上がり、いつもよりだいぶ覇気のない瞳がリーブを見てくる。
「……ん」
「すみません起こしちゃって」
「……いいんだ」
 ゆっくりと二度ほど瞬きをしたクラウドは、欠伸を一つするとぴたりとリーブにくっついてきた。幸いなことにあまり機嫌は損ねていないらしい。
「俺の目か」
「ええ」
「ソルジャーだったらだいたいこんな目だ」
「そうなんですけどね。クラウドさんのがいっとう綺麗だなあと」
 確かにクラウドの言うとおり、魔晄の色に染まった瞳はソルジャーであれば例外はあれど誰しもが持つものだ。リーブも神羅時代に幾度となく見てきたし、世界再生機構にもソルジャーだった隊員が何人かいる。
 だが、クラウドの瞳がリーブは一番好きだった。元の色が影響しているのかどうかはわからないが、見てきた中では一番優しい、綺麗な星の色をしている。
「……褒めすぎだろ」
「結構的確だと思うんですけどね」
 わずかに紅がさした目尻を優しく指でなぞると、それまでリーブを見つめていた双眸が僅かに伏せられた。
「それにね、クラウドさんの目って結構色変わるんですよ」
「ああ、……たまにある」
「あっ違う、違うんです、細胞とかじゃなくて、それ以外で」
 少しだけ暗くなった表情に慌てて弁解する。確かに今のは言葉が足りなかった。
「嬉しいときとか、怒ってるときとか、クラウドさんが珍しく熱中してるときとかにね、色変わってるんですよ」
「え? 本当か、それ」
「本当、本当」
 先ほどの暗い表情はどこへやら、好奇心を全面に押し出してきたクラウドの身体を抱え直すと、ぐいと腰を寄せた。
 クラウドの目は文字通り色が変わるということに気づいたのはごく最近だ。気になって調べてみたところ碧眼は色が変わりやすいらしい。感情が高ぶったときに血管の太さが変わり、結果色が変わって見えるらしいが、実際に目にしてみると実に面白い。
「クラウドさんと仲良くなるまでは知らなかったんですけどね」
 そして、体に触れるうち再び燃え上がってきた衝動のまま、背中に回した手でついとその背中に手を滑らせる。
「んっ」
 低く甘い声が聞こえた。そのまま背骨を辿るようにゆっくり指の先でなぞってやったら、「リーブ」と少しだけ抗議の色が混じった音で名前を呼ばれる。
「あんたな……」
「クラウドさんが可愛くてつい」
「……一回だけだぞ」
 善処します、とリーブはその身体に覆い被さる。口元、頬、鼻、そして目にたくさんキスを贈ってやれば、おずおずとその瞳が、星の命をそのまま流し込んだかのような瞳がリーブを見上げてくる。
「——ああ、興奮してますね?」
 そんな色をしてる、と言ったら、「ばか」と目をそらされた。

三度の飯が好き

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です