ハッサクさんのツイートにハートを打ち抜かれた結果 / バツクラ / クラバツ / 文庫ページメーカー
思ったよりもふわふわだった。
ただ、思ったよりも機嫌が悪くなった。
「……」
「……」
普段よりも眉が寄っていて少し口がへの字になっているだけで、美人というものは迫力が増す。だがここで止めてしまったら意味がないし、何よりまだ払いのけられていない(物静かなように見えて結構主張が強いのだ)。だからバッツは意を決して、そのままわしわしと撫でてみた。
柔らかいがこしが強い。金髪だからすぐにヘタるかと思ったが、根本から癖がついているのか生え方の関係なのか、見た目こそ細い金の糸だがチョコボ頭は崩れなかった。
まだ抵抗されないのを見てしばらくそのまま撫で続け、それでもまだまだおとなしいので、今度は意を決してその白い頬へと手のひらを滑らせた。張りのある、綺麗な曲線を描いた頬にふれたとたん、ぴくりとその身体が反応したがただそれだけだ。もしかしてさほど気分を害してらっしゃらないのでは、そう淡い期待を抱いて髪と自分の腕の影に隠れていた顔を見たら、相手はなんと気持ちよさそうに目をつむっていた。それどころか、良いところを撫でて貰おうとしているのか首を傾け、少しだけ位置を変えてくる。
(は、かわいい)
彼が狼と呼ばれる意味が分かった。ただ単に気配に敏く強いだけではない。こういった、なれた相手にはとことん気を許してすり寄ってくる様がまさしくイヌ科のそれだ。
(チョコボにも似てるけど)
すりすりと頭を擦りつけてくる彼を見て、さらに調子に乗ることにした。それまで頬を撫でてやるだけだった 手をさらに滑らせ顎に添える。顔を僅かに引き寄せるような格好になり、ほんの少しだけ色づいた唇にわずかに指が触れたとたん、狼の目が薄く開いた。
彼の手がゆらりと上がる。
あ、だめかと思ったその瞬間、普段はグローブに包まれている素肌がバッツの手首を掴み引き寄せた。
目が笑い、そしてまた閉じる。ちゅ、と軽く濡れた音とともに、掌をやわらかい唇が食んだ。
息を呑む自分とは裏腹に、蒼い蒼い光が零れ出てにやりと笑った。先ほどとはまるで違う獰猛な色に見すくめられ、まるで金縛りにでも遭ったかのようにその場に縫いつけられ動けなくなる。
狼が笑った。
「それは誘ってると見ていいんだな」
あ、これ、食われる。
思考が脳で弾ける間もなく、バッツの身体は柔らかい地面に押し倒されていた。