卵を産むクラウドちゃん / セフィクラ / リブクラ / 文庫ページメーカー
彼は卵を産む。
最初にその話を聞いたときは何の冗談かと思ったが、医療班の話から本当だと信じざるを得なくなった。クラウド・ストライフは卵を産む。それも定期的にだ。産むと言うよりは、作ってしまう、の方が近いだろうか。なにしろ作る器官だけが先にできて、排出する部分は作られていないのだ。
おそらくは肛門からなのだろうが、できた卵の径が明らかに大きすぎるため、放っておいては詰まってしまう。そこで定期的に入院してもらい、手術で除去しているのだった。
「なるだけ傍にいるようにしますから」
そう言って、麻酔に飲まれていくクラウドを安心させるのにもずいぶん慣れたし、起き抜けで少し夢とうつつの区別が付いていない彼をゆっくり起こすのも一度や二度ではなくなった。卵についてもわかったことはクラウドに伝え、医療班には今後の処置も考えるようにと申し伝えてある。
だが一つだけ、クラウドには伝えていないことがあった。
卵は父親を待っている。父たる存在が来るのを待っていたのだ。それもリーブではない、さらに言うなればこの世の生き物ではない、かつての英雄セフィロスを。